心地よい街

このところ仕事はリモートですることがほとんどのため、平日の昼間も自宅の近辺を散策する機会が多くなった。自宅は、日本人人口増加が日本一の某市の一角にある。沿線は日本一高額な運賃と悪名も高い路線であるが、たまにしか利用しないとなるとそれほど気にならないし、むしろ治安維持に寄与していると有り難く思うこの頃。住民は、一家に1台どころか1人1台ので車も保有している。

何が心地よいか?一般的には、駅に近いとか通勤に便利、買い物に不自由しない、病院や子供関連の施設は充実、公園が多い、、、といったところだろうか。また、都心のオフィスに行かない限りほぼ合格点である。しかしながら、こういった街は別に珍しくもない。個人的に気に入っている心地よさは、「信号もない横断歩道で車が止まってくれる街」であることなのだ。自分も心がけているが、感心するほど他の車もそうしている。ただし、この四方1キロほどの住宅街に限ったことで、他の地区はそうでもない印象である。この習慣は、実に心地よい。私がこの地を気に入って30年近く住み続けている理由の最もたるものである。なぜそうなるのか?いくつか仮説を考えてみた。「街区のデザインは外部侵入を拒む仕様で、宅配や公共サービス以外、外部からの進入はなく歩行者もドライバーもほぼ全て住人」「子供を育てているか、育てか経験のある人がほとんど」「渋滞はない」加えて、「ゆったり生きたい人が集まっている」「空港への利便性、地盤もよく、物流やIT関係の外資系企業も多く、海外経験者も多い」(私の息子が小学生の頃、クラスの4割が帰国子女だった位)という背景もありそうだ。

海外といってもアメリカになるが、歩行者優先は徹底している。また、アメリカ、カナダの4WAY STOPの他に、ヨーロッパではROUNDABOUTが一般的である。実にサステナブルでいい方法だと思うが、日本には馴染まない。日本の4WAY STOPは、事故多発交差点になるだろう。話が脱線したので元に戻したい。歩道で車が止まる街に育った子供たちが、大人になったらきっと横断歩道で車を止めるドライバーになる可能性は高い。教育というより習慣だが、とにかく清々しい。こんな街であれば安心して子育てができると感じるし、実際、健全な人口ミラミッドが維持できている数少ない地域となっている。少子化対策の原点は、金や施設ではなく、実はこういったソフト面にあるのかもしれない 。心地よい街、心休まるコミニュティの集合体が国家であれば、将来の不安もだいぶ和らぐのではないか。