ヨーロッパ視察旅行記 エネルギー問題

今回は車を運転する機会はなかったが、街角で見かけるガソリン価格には驚いた。リッター2ポンド、日本円換算330円ほどになる。これは単純計算で日本の約2倍。通貨購買力を考慮しても、大幅に高い。
産油国でもない日本のガソリン価格が相対的に安価なのは、エネルギー政策の賜物ではなく、税金の補助。あえて言わせてもらえば、バラマキによるもの。この日本の政策は非常に不可思議である。揮発油税と地方揮発油税といういわゆるガソリン税、加えて消費税を徴収していながら、税金を原資とした補助金で価格を統制する、統制経済国家のような政策である。一種の税金マネーロンダリングでもある。一部の業種、エネルギーや自動車関連業種への優遇にもなる。あまり仲がいいとは思えない財務省と経産省の思惑が一致した利権誘導型、お行儀の悪い呉越同舟プロジェクト。
一方、英国はシンプル。市場原理に半ば任せている。ウクライナ、気候変動等を要因とするエネルギー問題を国民共有認識とするためには、その方がフェアである。日本政府も今のような対応ではなく、別の使い道を考えるべきである。再生加工エネルギーのさらなる促進、公共交通機関の利用促進(値下げ等インセンティブ付与)、困窮した事業者には過年度の税金を還付する形でサポートすればいい。税金の使い方に関して監視の弱い日本の体制のいやな弱い面が露呈している。挙句に原子力発電の復興を目論むとは何たる怠慢、体たらくなのだろう。市場原理を尊重する自由経済を謳いながら、内実は統制経済そのものである。
その点、英国の場合には、バランスよく資源配分されている。公共交通機関の整備は長期計画で進んでいるし、EVも普及しつつある。私もEV愛用者であるが、そのリーフをロンドン市内では日本以上によく見かけた。テスラ、メルセデスも多い。化石燃料車での市内乗り入れは恥ずかしい、と思っているのではと勘繰りたくなるほどである。市内の街角には、かなりの充電スタンドが配備されている。地球温暖化、エネルギー危機を市民が実感するようなリーダーシップである。
日本も、今こそ、エネルギー政策、地球温暖化や環境対策、物価対策、格差解消のためにも、税制を見直し、合理的、機動的な仕組みを再構築しないいけない。小手先のその場凌ぎの対応の積み重ねでは、未来はない。