やめてほしい「くん」付け

前回の続きで、しつこくてすみません。「くん」付けとは、辞書によれば、自分と同等、またはそれ以下の人に対し軽い敬意や親しみをもって用いる、ということ。確かに、軽い親しみはあるかもしれないけど、敬意はあまり感じられない。それにも増して、はなから同等以下、すなわち目下として扱っていることに違和感を覚える。大昔はそんなことは感じなかったが、年上の上司、先輩から「さん」付けで呼ばれた、とてもすがすがすい経験が、違和感を生じる感性に変えてくれたかもしれない。拓銀人事部時代の上司、シアトル支店勤務時代の取引先である、三菱商事支店長と三井物産支店長。3人とも、奇しくも、三田会(慶應OB)の大先輩で、人格的にも尊敬に値する方々であり、「くん」付けで呼ばれても不快感は生じないケースである。不思議にも、そういう方々は「くん」付けを使わず、「さん」付けを使う。ご本人たちに、真相を聞く機会はなかったが、想像するに幾つかの理由が考えられる。まずは、いずれも典型的なエリートサラリーマンの国際派であり自信家、よって呼称で人を下におく必要がないという説。人間関係、友達関係を長期的に重視しフラットな関係を構築したいという説。さらに、自分が 「くん」付けを心地よく思わない性分である説。「さん」付けの利便性、有用性に気付き、それを手放せなくなった説。だいたい、こんなところだろうか。

とにかく「くん」付けは、なるべく早めに卒業した方がいい。今、所属しているゴルフクラブ(総武カントリー)のメンバー仲間との呼称は例外なく、「さん」付け。メンバー同士はダイバーシティの世界、グリーンの上ではみんな平等。「くん」付けの一つの根拠となるであろう、年齢を含めたプライベート情報をこちらから聞くのもマナー違反。「くん」付けは、せいぜい学生時代の遺物。大人にもなって先輩風を吹かせることは、幼稚だとつくづく感じる。そういえば、日本の「国会」は今も「くん」付け。確かに幼稚だと、妙に納得。