なぜ、日本ではペーパーレスの進まないのか?

今年に入ってやっと、官報と本会議、委員会の議事録についてのペーパーレス化の方向性が示された。今年とはもちろん2022年である。
なぜ、日本ではペーパーレスの進まないのか? いくつかの考察がある。伝統的に紙記録を大事にするという文化的側面、製紙業やコピー機メーカー等への産業保護の側面、、、しかしそれが最大の要因ではない。
紙を用いた文化や芸術、伝統を禁止や排除している訳ではないし、不利益を危惧した業界は多角化や変革の動きをとっている。最大の理由は、変化や革新を拒む、面倒臭がる人々(主に年寄り)や既得権にあぐらをかく組織(役所)の抵抗である。
ちょうど7年前に、東京弁護士会のコンサルに招聘されたことがあり、その年度の一つのテーマとしてペーパーレス化を提唱し、調査と報告を行った経緯にある。20数年間の私のビジネス経験からは、ハード、ソフト両面で大きな問題ないことは当時から確信していたが、実際の導入は限定的にとどまった。広報媒体の電子化、資料の電子ファイルでの配布程度であった。しかも、後者は、会員の了承のもとでということであった。ペーパーレス化の要因は、パソコンを使えない、使いたがらない大御所弁護士の抵抗がある等々あるが、根本的な問題は裁判所が電子申請を認めなかったことなのである。あれから、5年後の2020年に東京地裁の一部で着手され、7年後に国会でも追随することなった。最後に驚きのエピソードを一つ。東京弁護士会の登録のための要件に「FAX番号」は必須で、「eメールアドレス」は任意であった。今はどうなっているのだろうか?若い市民が最も先進的で、年寄りの多い国会議員が最も後進であることには間違いなさそうである。

https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2015_06/lbr_201506.pdf

https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2020_0102/lbr_2020_0102.pdf